AngelBeats!

コラム - リレーコラム AngelBeats!よもやま話

「現在自分が携わっている例のわふわふの宣伝しか書かないという変化球はどうでしょう?」
と、『Angel Beats!』リレーコラムの依頼が来ましたと伝えてくれた弊社藤井に提案したら、 「わははは、やめて」 と、視線を外さずに言われてしまったので、今までコラムを書かれた皆様にならい記憶を辿り つつ、この企画に自分が参加する事となった辺りから書いてみようかと思います。

初めまして。
『Angel Beats!』にてキャラクター原案を担当させていただきましたNa-Gaと申します。
株式会社ビジュアルアーツのブランド・Keyにて、ゲームのCG彩色や原画描きを日々の生業としています。

そんな自分が、弊社麻枝准原作脚本のアニメ企画の話があると知ったのは2007年秋。
『LB!』も無事発売して、『LB!EX』の作業に本腰を入れ始めようかという頃。
エクスタシーという単語が当たり前のように自分の身近なものとなった辺りです。
凄いな麻枝さん、『LB!EX』と平行してアニメも作っていくのか、と眺めていたところに藤井さんから、 「あのアニメ企画、アナタも関係する事になるかもしれないのでその時はよろしく?」と、やっぱり視線を外さずにサラリと伝えられて「はぁ…………え?」と、なったのがファーストコンタクト。

その後、2008年になりキャラクター原案として指名を受け、戸惑いつつもテンションが大いに上がるものの、自分のこれからのスケジュールが既に埋まっていたので中々うけれる方向にならなかったのですが、どうにかアニメ企画への参加が叶って、鳥羽プロデューサーのこぼれそうな笑みを見たのは『LB!EX』の作業を終える二ヶ月前でした。
「アニメ、やったらええんちゃう?」と言っていただけました我がビジュアルアーツ馬場社長、本当にありがとうございました。
先日は、最近たてこんでて残業が増えてる自分の健康を気遣っていただいてのお言葉に対し「自分よりも頑張ってる人達が沢山いるのに、んな事言ってる場合じゃねぇーっ!!」などとまくしたててしまい申し訳ございませんでした。
自分も休みは欲しいので、休める時は休みます。
でも自分の叫びが軽くスルーされた事はしっかり覚えておきます。

そんなこんなでこのアニメ企画、『Angel Beats!』における自分担当であるキャラクター原案の作業が始まりましたが、この時点で脚本は存在せず在るのはプロットとプロローグ的な物。
登場人物もどれだけいるかまだまだわからない状態ですが、まず核となるキャラを描く事に。
この時にはゆりっぺと天使にはちゃんとデザイン指定はありましたが、天使は模索中に大きく変わりそして……主人公・音無はなんの指定もありませんでした。
ですが逆にイメージが固定せず、やりやすい場合も多いのでそれはそれで気にせずに。
ですので、まずはと描きながら徐々に麻枝さんの中に埋もれている情報を引き出しつつ、デザインの方向性を固めながら進める事もあれば、「こんな感じで」とイメージを伝えられて絵を起こす事を繰り返していき、セリフはまだなく名前だけのキャラ達にも頭を悩ませつつ、この得られた貴重な機会に没頭していく事に。

それから企画会議に自分も赴き、岸監督をはじめとする皆さんにも直接ご意見いただきながらその作品作りに対する姿勢や言葉に大きく感銘を受け、その場にある空気から自分の中にある『Angel Beats!』を広げていくのですが、ゲームの製作現場とはまた違う、本当に貴重な体験をさせていただきました。
その後から続く脚本会議にはほぼ参加する事が出来なかったものの、出来上がっていく脚本のさまからキャラを想い描き、一人開発室で線を走らせる日々。

ちなみに自分が初めて企画会議に参加した時は、それまで描き溜めたラフを印刷した物を持参して皆さんに見ていただいたわけですが、その間一様に無言。
真剣に見てくださっているからなのですが、その紙を捲る音はなんというか……今までにない緊張感を与えてくれました。
「ん?……なるほど」と、ステレオ+疑問符つきで呟かれるのを耳にして、なっ、何がなるほどなんですか!? と叫び出しそうでしたが緊張でロクに声もでなかったのでセーフ。
体は何度もビクッとしてたと思いますが。

そしてキャラクターデザインの平田雄三さんが描かれたゆりや天使達キャラクターを見て……
言葉には出来ない感動と共に、身に余る何かを頂いた、と。
まだキャラが動いてもいないのにこの有様です。
昨年末に動画のPVが公開されその完成度の高さに圧倒された時も同じような思いをしたのですが、自分は一体どれだけの事が出来たのだろうなどとも。
作業をしている時はただがむしゃらに進んでいるのですが、自分が知らないところも含め多くの方々が関わって凄いものが出来て、それに自分も関わっている事実をふとふり返ると、いつもこんな想いにかられます。。

『Angel Beats!』に関わる皆様。
この度は参加させていただきましてありがとうございました。
自分も、これからも微力ながら出来る限りの助力をさせていただきたく思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
そして、『Angel Beats!』を応援してくださってる皆様にもありがとうございます! を。

放映する前から一人こんな感じですがアニメ製作は今まさにフル稼働中で、自分が想像も出来ないくらいの壮絶な作業をなさっているかと。
今回尽力頂いている方々に恥ずかしくないように、更に気を引き締めて仕事に臨もうと思うには十分過ぎる経験でした。
声優さんも決まりいよいよキャラクター達も完成し、『Angel Beats!』がその全てを露わにしますが、本当に一人でも多くの人に見て頂ければと、そして楽しんで頂ければと思います。

あと一ヶ月と少しで放映が始まります。
鳥羽プロデューサーの情熱から始まった、この麻枝准祭り。
皆様是非ご一緒に!

……ちょっとかたくなり過ぎましたか?
もう少しキャラ原案なところであった色々な出来事を交えた方が良かったかなと思いますが、それはまたの機会がありましたら。

2010/02 『Angel Beats!』キャラクター原案・Na-Ga

※第7回リレーコラムは2010年3月15日に掲載予定です。

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