AngelBeats!

コラム - リレーコラム AngelBeats!よもやま話

皆様、お初にお目にかかります。

「Angel Beats!」で設定制作を務めております、ピーエーワークスの小柳と申します。
自分のような者にリレーコラムを書かせて頂けるなんて、恐縮です。
しかも、Na-Gaさんの後だなんて!
拙い文章ではございますが、何とかお付き合い下さいませ。

先ずは、自分が担当している、「設定制作」とはなんぞや? という所からでしょうか。
読んで字の如く、設定の制作です。・・・・・・すみません、もうちょっと詳しくご説明すると、キャラクター設定や小物設定、美術設定の発注、管理を行うのが仕事です。
ちゃんと出来ているかは甚だ疑問ですが・・・。
制作進行達から、「あの設定まだですか?」とか、「写真参考早く下さいよ!」等々、せっつかれ続ける毎日です。すみません・・・。今は日々話数の設定や参考探しに追われていますが、この仕事は、作品のかなり初期から関わる必要がありました。原作の無いオリジナル作品。設定もゼロから考えなければなりません。そんなわけで、ここではアニメ本編の制作が本格始動する以前に、自分がどんな風に「Angel Beats!」に関わっていたかをお話しできればと思います。

今にして思えば、あれは2008年の初冬、上海でドンパチやってる女の子達を描く作品の制作でてんてこ舞いだった頃です。事もなげに、「今日の晩飯何にしようかなぁ」とか呟くようなノリで、ウチのボスである堀川Pが自分にこう言ったのです。
堀川P「鳥羽さんが、今度からラインプロデューサーか設定制作も本読みに呼んでくれって」
小柳「へぇ、そうなんですか」
堀川P「ラインプロデューサー、まだ誰がやるか決まってないんだよなぁ」
小柳「今は上海でドンパチやってる女の子達を描く作品の制作でてんてこ舞ですからねぇ」
堀川P「まぁ、でも、設定制作は決まってるから」
小柳「へぇ、そうなんですか」
じーっと半笑いでこちらを見ている堀川P
小柳「・・・・・・へ?」
右手を軽く上げて「そういうことだから、よろしく」のポーズを取る堀川P(これ、堀川Pの得意技です)
小柳「ちょwwww」

そんなこんなで、自分も設定制作として「Angel Beats!」の本読みに参加する事になったわけです。
木枯らし吹き荒れる、寒い昼下がりの事でした(嘘です、そこまで覚えてません)

初めて本読み会場へ堀川Pと一緒に行った時の事は、今でも良く覚えています。
鳥羽さん、Na-Gaさん、藤井さん、中辻さん、小荒井さん、飯田さん、そしてあの、麻枝さん。
そうそうたる面々が一堂に会しておりました(岸監督は、前の用事が押しててまだ来てませんでした)
こんな方々に囲まれて、自分は一体なにをしろと・・・?という感じでした。
とりあえず、名刺交換ですよね。麻枝さんとNa-Gaさんからも名刺を頂きました。
「うわー! 麻枝さんとNa-Gaさんから名刺もらっちゃったよ! すげー!!」
・・・・・・などという事はおくびにも出さず、淡々と儀礼的に名刺交換を済ませました。
制作は、ミーハーな態度を取ってはならないのです。いや、勝手にそう思ってるだけですけど。

高校時代、友人が不透明なビニール袋に包まれた箱を自分に手渡してきました。
「貸すから、やりなさい」それだけ言って、去っていったのです。
怪訝に思いつつも、家に帰ってからビニール袋の梱包を解いてみると、出てきたのは「AIR」の初回限定版でした。その後は、もちろん夜通しプレイですよね。
低スペックのノートPCでやってたものですから、フリーズする事も多々ありました(Win98だったかな)
観鈴の家の前でPCがフリーズして、動き出すまでずーっと観鈴の家を眺め続けていたのも、今となっては良い思い出です。クライマックスでは散々泣きました・・・。

そんな作品の脚本を書かれたkeyの麻枝さんが、自分の目の前にいらっしゃる・・・だと・・・?
・・・などと考えている事も態度には出さぬまま、粛々と本読みは行われていきました(あ、監督来た)
岸監督ともこの時が初対面でした。気さくで元気いっぱいで、ラーメン屋に行けば必ず2杯食う、素晴らしい監督です。・・・いや、まぁ、第一印象は「こ、恐そうな方ですなぁ・・・」でしたが。

当時、「Angel Beats!」の世界観を構築するために美術設定を起こす事が急務でした。そこで、先ずは美術設定の原案ともいうべき、イメージボードの作成を松本剛彦さんにお願いしたのです。
どんな立地にするか、校舎の形は、広さは・・・・・・等々、色々考えて頂きました。
イメージを膨らませるために、監督と松本さん、自分の3人でロケハンに出かけたりもしましたよ。
空港の保安検査を時間までに済ます事ができなくて、うっかり飛行機に乗り損なったのも、今となっては良い思い出で・・・・・・嘘です。その節は本当に申し訳ございませんでした・・・。

そして、Angel Beats!の核とも言うべきキャラクター達のアニメーション用デザインと総作画監督を務める、平田雄三さん。平田さんとお仕事をご一緒するのも、この作品が初めてでした。
「萌え」が何たるかを熟知されている方なので、一緒に作品づくりに携われると知った時は飛び上がりたい気分でした。平田さんからキャラクター設定やレイアウトの総作監修正が上がってくる度に、「ああ、分かってらっしゃる!」と唸ったものです。
Na-Gaさんが描き起こされたキャラクター原案を基に、平田さんがアニメーション用のキャラクターデザインを起こす作業も、本編作業が始まるずっと以前から始まっていました。
今現在も、平田さんから上がってくるものを毎日楽しみにしています。
このコラムを書く前日にも、素晴らしい版権イラストを上げて頂きました。それを真っ先に見ることが出来るのは、この上ない幸せです。

・・・とまぁ、そんな感じで関わらせて頂いているこの「Angel Beats!」ですが、放送も間近に迫り、現場もいよいよ修羅場モードに移行しつつあります。
ですが、スタッフの皆さんはやる気満々です。
そのやる気満々オーラと、上がってくる素晴らしい素材から我々制作陣も元気と勇気を頂いております。
このテンションを維持しつつ、最後までスタッフ一丸となって突っ走りたいと思います。 皆様、宜しくお願い致します。

ピーエーワークス 小柳

※第8回リレーコラムは2010年4月15日に掲載予定です。

(C)VisualArt's/Key (C)VisualArt's/Key/Angel Beats! Project